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目次

第1章 【俺の恋愛運上昇中】 第1話~(全9話)

第2章 【初デェト】 第1話~(全11話)

第3章 【行くなよ】 第1話~(全17話)

第4章 【ワガママお嬢様】 第1話~(全28話)

第5章 【そばにいるよ・・・】 第1話~(全27話)

第6章【父親として、子として】 第1話~(全8話)

最終章【キズナ~恋愛現在進行形~】第1話~(連載中)

主な登場人物



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キズナ~恋愛現在進行形~(20)

めぐみの楽しそうな笑い声を聞いているとなんだか自然と足が止まってしまった。
榛生は俺の隣で無言で黙って俺を見ているが、どこか何か言いたげな顔をしている。
このままでいいのか、本当に終わらせるのかとそんな事を言いたげだ。
すると急に俺の腕を無理矢理引っ張って外に連れ出そうとする。
「何すんだ!離せよ。俺、もう別れるんだよ!」
「上村が言った事なんかマジで真に受けんな」
「俺に嘘を吐く理由なんかないだろうが」
「大人ってのはな、目的の為なら平気で嘘を吐いたりする生きモンなんだよ」
「あの人はそんな人じゃない」
「お前、よくあんな奴の事が信用出来るな。アイツの話す事は嘘ばっかりだぜ。
兄貴とお嬢が愛し合ってるなんてまずそんなデタラメ言ってる時点でそんなの有り得ねぇだろうが!」
「俺だってそんな事信じたくないさ!」
「病院内ではお静かに願います!!」
「すみません…」
俺達は看護婦さんに怒鳴りつけられ、申し訳なさそうに頭を下げた。
榛生といると落ち着きが無くなるというか余裕がなくなってくるのがわかる。
落ち着かなきゃと思う度に余計に焦って落ち着かない自分がいた。
「外で話そう」
榛生の一言で我に返り、俺達は一旦病室を離れて病院をあとにした。
そして病院の敷地内のベンチに俺は腰を下ろした。
「俺だって、めぐみと北条さんが愛し合ってるだなんて未だに信じられないよ。
でもお前も見たろ?あれが本当の二人の姿だったんだって実感したよ。
俺は上村さんのいう通り、最初からパーティーはカモフラだったと思う。
もうお前だってコソコソと隠す必要なんてないんだよ。もう全部分かったからさ」
「何が分かったんだ?お前はアイツと俺、どっちを信じるんだ?」
「はぁ?何言ってんだよ」
理由も説明せずにいきなり意味不明な事ばかりを言い出した榛生だったが、
いつになく真剣なまなざしで俺を見ていた。
「二人とも信じてるよ」
すると榛生はいきなり薄気味悪く笑い出したかと思えば、俺の腕を無理矢理引っ張り歩き出した。
今度はいくらもがこうとしてもビクともしない程の馬鹿力で掴まれた。
「上村とどっちを信じるかなんてそんなくだらねぇ事を聞いちまうなんて俺もどうかしてるぜ」
「上村さんと比べるなんてそんな事してないし」
それから榛生は俺がどんなに話そうとしても決して口を割らずに何も話そうとしなかった。
まるで初めて会った時のようないつもと同じ、仕事モードの榛生に戻っていた。
少しずつ、榛生との距離が縮まったかのように実感出来たはずだった。
けれどこれじゃあまたふりだしだ。
「行くぞ」
「えっ?」
「こんな所にいつまでも居るわけにいかねぇだろ。帰るぞ」
「でも…俺は」
「お前の意思なんか俺にはどうだっていい。面倒かけさせんな」
「離せって!!」
榛生はきつく俺に睨み付け、俺の腕を無理矢理引っ張って病院を去ろうとする。
何がなんでも病院から引き離そうとする榛生の腕は振りほどけず、成すがままになっていた。
病院の外には知らぬ間にタクシーが路肩に寄せられていて、俺は押し込まれるようにタクシーに乗せられた。
「わざわざタクシーなんか使ってなんなんだよ?」
榛生は俺の問いには全く答えようともせずに、腕組みをして目線だけを外して俺の真後ろの窓の外を眺めていた。
「なんなんだよ、ったく」
俺は榛生の反対側の窓の外を眺め、榛生から視線をずらした。
あれから数分して、タクシーはやはり家路へと向かっていたようで榛生は料金を支払い車を降りた。
俺も後を追うように榛生について行ったが、ドアを開けて俺が入るのを待っていてくれていた。
「話があるんだ。だから帰ってきた」
「最初からそう言えばいいのに」
俺が渋々ながら家に入るとオフクロがバタバタと玄関先に出迎えてきた。
「遅かったじゃないの。心配してたのよ」
「和志様を遅くまで連れ回して申し訳ございません、奥様」
榛生は素早く対応し、尽かさず深々と頭を下げて謝った。
「大丈夫だったの?お兄さんは」
「はい、大事はありません」
「それならいいのよ。明日も学校なんだし早く寝なさい。おやすみ」
「うん、おやすみ」
「おやすみなさいませ」
俺達はオフクロに挨拶した後に部屋に入った。
相変わらず榛生はドアの前で立つようにして俺を見張っていた。
ベッドに寝転がった途端にドッと疲れが出て来て今にも目が閉じそうになった。
「そういや話ってなんだよ?」
俺は閉じそうになった堪えて重い体を起こしてクローゼットに向かう。
パジャマに着替えている時も何も話そうともせずにただ黙って立っていた。
歯を磨こうと一階の洗面所へと下りると榛生も一緒について来る。
「だかりゃ話ってなんりゃお?(だから話ってなんだよ?)」
「歯を磨きながら話をするな」
俺は口をゆすいで歯ブラシを洗う。
「だから話ってなんなんだよ?まただんまりでいるのかよ?」
それでも榛生は何も答えようともせず、俺は諦めて寝る事にした。
「電気消すぞ」
「あぁ」
真っ暗になった部屋に俺と榛生だけが2人きり。
いつもなら気にもならないけれど、榛生の話したい事が気になって眠れるわけもなかった。
話したくないのだから仕方ないと思おうと頭の中でモヤモヤがぐるぐる回っていて逆にイライラしてきた。
「あーーもう!!こんなモヤモヤで眠れるか!」
「なぜモヤモヤしてるんだ?」
「お前が話をしないからだ!」
俺は布団を捲り上げ、少し目の慣れた暗がりの中で榛生の目の前まで歩く。
そして俺は榛生の前で腕組みをして腰を下ろしてあぐらをかく。
「一体なんなんだ?」
「お前が話をするまで寝ない!」
「好きにすればいい」
「あぁ、そうするよっ!」
すると榛生は呆れるように深い溜め息をついて俺の前に座り込む。
「誰かさんに似て意外に頑固な所があるな。
なぜ他人の事にそんなに真剣になれるんだ?お前は」
「俺達は確かに他人だけど、そうやってなんでも他人事のように言って片付けるなよな。
お前の事だから興味があったり聞きたいとか思うわけで、全ての人の悩みを聞いてるわけじゃないんだぞ。
お前、そこんとこ分かってんのかよ?」
「そうか」
「そうか、じゃない。分かってるか分かってないのか聞いてんの!」
「分かった」
「そうじゃなくてー!」
榛生って奴はかなり自己中な勝手な奴って俺自身もよーく分かっているはずだけど、
それを分かっているだけに余裕ぶってる榛生がムカついてる。
だけど榛生ってどこか憎めない。
これがコイツのいやーな本性。
「和志」
「あーはいはい、なんですか榛生様!」
「ありがとう」
不意討ちを突くかのようにそうやって榛生は俺の怒りを一発で覆してしまう。
そう、榛生ってこんな奴。
「和志、俺がこれからどんな話をしてもお前は決して自分の気持ちを偽ろうとするな。いいな?」
「榛生?」
後に榛生の口から信じられない言葉を聞かされようとは今の俺には知る由もいなかった。


つづく。


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キズナ~恋愛現在進行形~(19)

北条さんはあれからずっと眠ったままだ。
本当に息をしているのかと疑いたくなるかように驚く程に安らかな顔をして眠っている。
もちろん本気で死ぬつもりで睡眠薬を飲んだのかもしれないとは思う。
それとも単純に本当に眠れなくて飲んでいて、過剰に飲み過ぎてしまったとか。
けれど睡眠薬ともいえども多量に飲めば立派な凶器だ。
これを飲む時はどんな気持ちだったんだろう。
何を思っていたんだろう。
そしていつからこんな事をし始めたのか、早くその理由を聞きたい。
「兄貴っていつも無理ばっかりすんだよな。自分の体の事なんかいつも二の次なんだ。
俺と会っていても、誰かと話していても、いつも考えてるのはお嬢の事ばかりだった。
時間が空けば時計ばかり見ていて、余程気になる存在なんだな、どんな奴なんだろうって思った。
だけど会ってみればただの高校生のガキで、それもお嬢の婚約者の和志のボディーガードになれとも言って来た。
お前らってさ、一体何様なんだよ。
兄貴をここまでさせて置いて、何考えてんだよ。
なんでこんなに悩んでまでお前らの面倒なんかみなくちゃならないんだよ!」
「榛生…やめなさい…」
北条さんが目覚めた。
「兄貴…。何やってんだよ!バカじゃねぇの!!」
「すまない。今何時だろうか?」
「時間なんかどうだっていいだろうが!倒れたのに、死にかけたのに!」
「北条さん!」
めぐみは涙ぐみながら北条さんに抱き着いた。
「お嬢様、申し訳ございませんでした。私のせいでお嬢様に御心配をお掛けしました」
「眠れなかった事、どうして黙ってたの。どうして悩みを打ち明けなかったの…」
「何も悩んでなどおりません。お嬢様のお側に居れる事が何よりの喜びでございますから」
するとめぐみはキッと睨み付け、思い切り北条さんの頬を叩いた。
北条さんもなぜ叩かれたのかがよく分からないカンジだった。
「いい加減にしてちょうだい!私はあなたがどういうつもりでこんな事をしたのかを聞いてるのよ!」
「そのような大声を出されてはお体に響きますよ、お嬢様」
後ろを振り向くといつの間にか上村さんがドアの前に立っていた。
そして中へとゆっくりと入って来て北条さんの目の前にある封書を差し出して来た。
そこには退職願と書かれた文字があった。
「これ、どういうつもりだか知らないが受理出来ないよ。君がいなくなったら僕が困る」
「上村さん、私はもう…」
「君の気持ちは十二分理解してるつもりだ。
だけどそれは仕事をするにあたっては全く関係のない事だよ。
君は賢い奴だからきちんとよく考えれば理解出来るはずだろう?」
「ですから私はその件は以前にきちんとお断りしたはずです」
「北条、もう一度言おう。君に拒否権はないんだよ。旦那様もお望みの事だと知っているだろう?
それを拒否するなんてそんな事僕が許さない。僕はそんな君の気持ちは十二分に理解している。
水原家執事としてもこれからもお仕えして欲しい。僕の言ってる意味が分かるね?」
「……」
北条さんと上村さんの間で事情の掴めない会話が行われていた。
「北条さんと2人で話をさせて下さい」
「かしこまりました」
「ちょっと待てよ!俺にも話をさせやがれ!」
「さぁ、行くぞ」
「お、おい!」
榛生は上村さんに引っ張れながら廊下へと引きずり出されて行く。
俺達は仕方なく病院のロビーへと移動した。
榛生だけではなく、俺ですら北条さんには聞きたい事が沢山あった。
めぐみは北条さんとどんな話をするつもりなのかは分からないが、あの時の事を聞き出すのかもしれない。
「お前達、北条の気持ちを知ってるんだろう?北条はお嬢様の事が相当好きなようだ。
本人は知られたくなくてコッソリ辞めるつもりだったんだろうが、それはただのワガママじゃないだろうか?
最初に北条の行方をを探して欲しいと言って来たのは旦那様なんだ。
お嬢様と知り合ったのはただの偶然なんかじゃなく必然だった。全部僕が旦那様に頼まれ仕組んだ事だ。
水原家にとって北条はなくてはならない存在なんだからな。もちろん旦那様もそうお考えだ。
婚約パーティーはただのカモフラージュなんだよ」
「えっ?」
「着実に準備は進んでいる。そう、着実にね」
「なぜカモフラージュをする必要があったんですか?」
「聞きたいかい?」
「勿体ぶるな。早く言え」
「いや、僕から話すのはやめておくよ。本人に聞くといい」
「そうですね。俺もそう思ってました」
俺は驚く程冷静だ。というよりも気持ちのどこかでなんとなく分かっていたからかもしれない。
北条さんやめぐみの想い、なんとなく分かっていた。
ふたりはきっと俺が知るようにずっと前から好き同士だったんじゃないかって。
だとしたら今回の事も今までの事も全てに置いて納得がいく。
「全部分かってたのかよ?お前は」
「めぐみの子は俺の子じゃない。そうでしょ?上村さん」
「君は何を言ってるんだ?じゃあ一体誰の子なんだい?」
上村さんは薄気味悪く笑い、病院をあとにした。
俺はまた病室に戻って話を聞く事にした。
病室からはめぐみの笑い声が聞こえた。
楽しそうに笑う声。俺の前では決して見せた事のない笑顔。
あの二人を見ていればすぐに分かる。
あれが本当のめぐみ達の姿なんだ。



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キズナ~恋愛現在進行形~(18)

「和志くん、結婚しても時々は望の事思い出してあげてね。
結婚しちゃうとね、どうしても友好関係は疎かになっちゃうもんなのよ」
「そんなモンなのかなぁ」
「そうよ。望の事なんか微塵も思い出さなくなっちゃうんだから」
「いやそれはさすがにないと思うけど」
「望にも可愛い彼女がいたらおばさんも楽しみがあるのに…。
どうしてうちの子には女の子の縁がないのかしら?和志くんどう思う!?」
おばさんに問い掛けられ、俺は答えに迷ってしまった。
望って女の子にはかなりモテる方だとは思うけどな。
ただ望があまり恋愛に関心がないというか、興味を持たないというか。
「和志にそんな事相談すんなよ」
「望が興味あった女の子は新城さんだけだったな」
「新城さんねぇー。あの子はダメよ」
おばさんはいきなり新城さんの事をダメだししていた。
基本的に人に対しては好き嫌いない人なのに、なぜだか新城さんに対しては厳しい。
俺は呆気に取られ、榛生と顔を見合わせて首を傾げる。
「新城さんのどこら辺がダメなのさ?」
「親の私が言うのもなんなんだけど、望とは合わない気がするわ。
望が部屋に籠った時も積極的でもなかったし、部屋の外で説得し続けたりしてたけどイマイチね。
和志くんとなったらやっぱり違うわよね。
あんなにテコでも動かなかった望を一発で直しちゃうんだもの。
新城さんは望には合わない。
望にはね、年下でもっとグイグイ派の女の子がお似合いなのよ。
あー、和志くんが女の子だったら良かったのにー!」
「俺!?」
「和志くんみたいな女の子居たら最高よね」
「そうだな」
「望、お前までも納得すんなよー」

~~~♪♪♪

和気あいあいと話をして居た所で携帯が鳴った。
着信はオフクロからだ。
きっと居るはずの俺が居なかったから心配して掛けて来たんだろう。
「もしもし?」
『今どこにいるの?』
「家の鍵忘れちゃって望ん家にいる」
『お母さん達もう家に居るから早く帰ってらっしゃい』
「うん、分かった」
俺は電話を切り立ち上がった。
「帰るのか?」
「あぁ。じゃあおばさん、ありがと。俺帰るね」
「またいつでも来てね」
そう言っておばさんは俺にプリンの手土産を渡してくれた。
俺は家路へと向かう。
今日はいろんな事があったけど、なんか望と話してるうちにどうでもよくなっていた。
よくよく考えてみれば財閥に婿養子に入る人が妬まれるなんて世間ではよくある話なんじゃないだろうか。
俺自身それに気が付いていなかったという浅はかな考えのせいで悩み過ぎてしまっただけだ。
俺の悩みなんてごく一般の悩みに過ぎないじゃないか。
「ドアの前に誰かいる。ありゃお嬢じゃないか?」
「は?こんな所にめぐみがいるわけないだろ」
「いや、俺の目に狂いはない」
めぐみかどうかはさておき、榛生のいう通りに本当に誰か女の子がドアの前でうずくまっていた。
そして玄関先に行くと迷わずに俺に抱き着いてきたのだ。
突然の事で俺は対処出来ずにそのまま受け止めた。
「和…志くん…」
「めぐみ…一人で来たのか」
めぐみは俺の腕の中で声も上げずに静かにすすり泣いていた。
車に乗って来たような形跡もどこにもなく、北条さんもおらずにここまで一人で来たようだ。
「どうしよう…北条さんが…ほじょ…さんが…」
「北条さんがどうしたんだ」
「ほ…じょ…さん…」
めぐみは何やら混乱しているようで話を聞き出せるような状況ではなかった。
今の俺らに分かる事は、北条さんに何かが起こっているとただそれだけの事。
榛生は誰かに電話をしていた。
多分水原家の誰かに連絡してるようだけど繋がらないみたいだ。
「おい、兄貴に一体何があったんだ!泣いてても分かんねぇだろうが!」
めぐみはいきなり榛生に無理矢理に肩を掴まれた。
俺は慌てて榛生の腕を掴んで止めさせた。
「榛生、そんな風に乱暴するな。体に障るだろうが。ちょっとは落ち着けよ」
「落ち着いてなんかいられるか!」
「だ、大丈夫です。今なら話せますから」
「うん、北条さんどうしかしたのか?」
「目を覚まさないんです。睡眠薬を大量に飲んで自殺未遂をしたんです」
「なんだと!!」
「お父様の病院へ搬送して一命は取り留めましたが、まだ目が覚めません。
どうして北条さんがこんな事に…。どうして…自殺未遂なんか……」
榛生は焦るようにして走ってどこかに行ってしまった。
「俺達も向かおう」
「……はい」
俺はオフクロに一言だけ言付けてタクシーで病院へと向かった。
一足先に榛生は病室に着いていた。
イスに座って北条さんの手をギュッと両手で握り締め、黙って俯いていた。
実の兄弟なんだから焦るのも無理はない。
だけど北条さんが自殺未遂をする程にまで悩んでただなんて信じられなかった。
どんなに苦しんでいたんだろうかと心が痛む。
「たった一人の肉親の弟にですら話せない悩みってなんなんだよ?
悩んで悩んで悩みきった結果がこれかよ。全くバカしいにも程があるぜ…」
北条さんを見つめるそのまなざしはとても悲しげだった。




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キズナ~恋愛現在進行形~(17)

新築の事なんてもちろんそんな事は初耳だった。
あくまでも俺の意見は関係ないらしい。
今回の新築の件でよく分かった気がする。
でもたとえ分からなくても自分達の住む家の相談くらいしてくれたってどうだろうか?
どこに建てるかとか、親父達は知ってるんだろうか?
榛生に言われなかったらずっと気が付かずにうるさい工事たなぁって呑気に話してたかもしれない所だ。
「和志、何やってんだよ。早く来いよー」
「今行くー」
望に呼ばれ、俺達は望の家へとお邪魔した。
望の家に行くのは本当に久し振りだ。
いつも望がうちに入り浸っているもんだからなんだか懐かしいカンジがした。
崕さんがコンサートで帰国してた以来だ。
「和志くん、榛生くん。早く上がって上がって。望ー、早くスーツ脱いじゃいなさい」
「わーかったよ」
「和志くん達はリビングでちょっと待っててね」
「うん」
望とおばさんは二階へと上がって行った。
俺と榛生はリビングのソファーに腰掛けた。
婚約パーティーともなるとバタバタしていて、休みらしいも気がする。
今ようやくゆっくり座る事が出来て一息ついた所だ。
「今日はよく頑張ったな。まぁ下手なりにそれなりに挨拶は出来たし、文句は誰も言わないだろう」
「褒めてんの?けなしてんの?」
「褒めてんだよ、バーカ」
榛生はソファーの背もたれに腰掛けながら俺の髪をクシャッと撫でた。
俺も一応素直に嬉しかったらしく、自然と笑みが零れた。
「それにしてもあんな所に家建てるなんて初耳だぞ。なんで知ってんなら話してくれなかったんだよ?」
「俺にも黙秘権があるだろう?兄貴に話さないように言われてた。
一応お前ら夫婦の家だけど、俺の家でもあるんだからな」
「どういう…事?」
「俺も一応あの家に同居して働かせて貰う事になってんだ」
「そうなのか?」
「あぁ。お前自身はどうだか分かんねぇけど、夫婦水入らずの家に他人が混じるなんて嫌なんじゃねぇかと思ってな。
俺は反対したけどよ、兄貴が俺の意見を素直に耳を傾けるわけねぇしな。
一応お前の意見を聞いときたかった所だ。お前、同居の件どう思ってんだ?」
「どうって…」
榛生と同居するかなんて考えた事もなかった。
といってもめぐみの場合は全然状況が分からないけれど、
俺の場合は榛生は俺のボディーガードだからいつも風呂でも部屋でも学校でも一緒だったし、
今更居ても居なくてもさほど状況は変わらない気がした。
という事は同居してもしなくても俺的には全然構わないわけだ。
でも一人で決めるわけにはいかないな。
「めぐみの判断に任せる。俺は反対はしないけど、めぐみが嫌がったら認められない。
とまぁ結論はそういう事でいいか?」
「女に意見求めんのかよ?」
「そういうわけじゃないけどさ、お前も一応男だろうが。つーか少しは空気読めよな」
「空気読めだと?」
「そうだよ。めぐみは女の子一人なんだから可哀相じゃん」
「可哀相?」
「そうだよ。女の子っつーのは意外にそういうのにデリケートなんだよ」
「そういうの?」
「ハァー。もういいよ」
「何がだ?」
「とにかく俺だけの意見じゃ決めれないって事。分かったな?」
「よく分かんねぇけど、分かったよ」
話が一段落した所で望がバタバタと下りてきた。
髪の毛だけはセットされているが、服装はジャージでラフな格好だ。
そして俺の隣にドサッと座った。
「ねぇー和志くん、榛生くん。美味しいプリンがあるの。食べない?」
返事を聞く前にすでにおばさんはプリンを2つ出して来ていた。
「さぁ召し上がれ」
「美味そう。いただきまぁす」
俺はプリンをすくって一口食べた。
口の中でジュワーっと広がり、とてもとろけるような滑らかな舌触りだ。
「うまっ!なにこれめっちゃ美味いんだけど」
「そうでしょう?おばさんの手作りなのよ」
「マジでー?レシピ教えて」
「ダ・メ・よ。秘密のレシピだもの」
「何が手作りだよ。昨日隣の地主が挨拶で持って来たやつじゃねぇかよ」
「もう望ったら。男のクセにおしゃべりなんだからー」
「隣の空き地、家が建つんだってさ。知ってたか?」
「いや、俺今日知ったんだ」
「昔よくあそこで遊んだよな。なんか淋しいよな」
「そう…だな」
なせだか望には自分達の家が建てられる事を話せなかった。
大切な場所が壊されるなんて、それだけでも悲しい気持ちになるのに、
その土地に建つのが自分達の家だなんて望にはそんな真実は更々言えるわけもなかった。



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Author:えり^^
去年はあまり更新できませんでしたが今年は本腰入れて頑張りたいと思います。
今年も当ブログをよろしくお願いします。

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「キズナ~恋愛現在進行形~」
~あらすじ~
平凡な高校生の和志がいきなりお嬢様と結婚!?
そんな二人のピュアで切ないラブコメディ。
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水原芽美の執事、北条雪流版の
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